e-taxで住宅ローン控除を申告するだけなら、特に確定申告書の構成や計算方法は知らなくてもできますが、せっかく確定申告をするのですから、確定申告書を作成する上で知っておきたい基礎知識をまとめてみました。
1 確定申告書の種類
(1) 確定申告書A
所得が給与所得、公的年金やその他の雑所得、配当所得、一時所得のみ
受けられる控除は、医療費控除、寄附金控除、住宅ローン控除のみ
e-Taxの入力方法選択画面では、左側の「給与・年金の方(給与・公的年金専用)」になります。
(2) 確定申告書B
確定申告書Aの対象者以外の誰でも使用できます。
また、確定申告書Aの要件を満たす人がB申告書を使っても問題ありません。
e-Taxの入力方法選択画面では、右側の「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」になります。
2 確定申告書の構成
確定申告書Bを見ながら、その構成を説明します。
申告書の左側が上から、A「収入金額」、B「所得金額」、C「所得から差し引かれる金額」(=所得控除)
右側に、D「税金の計算」となっています。
税額計算の流れを計算式で示すと、次のようになります。
A「収入金額」- 必要経費 = B「所得金額」
B「所得金額」- C「所得控除」 = 「課税される所得金額」
「課税される所得金額」 × 税率 = 「課税される所得金額に対する税額」
所得税額 = 「課税される所得金額に対する税額」- 税額控除
※ これに復興特別税額(所得税額の2.1%)が加算されます。
申告納税額 = (所得税+復興特別税) - 源泉徴収税額
これが、納付すべき税額(マイナスの時は還付額)となります。
※ 予定納税で既に収めた税額がある時は、それを差し引きます。
3 所得の種類
所得の種類は、次のとおりとなります。
確定申告書に記載されている順に示してあります。
〇事業所得(営業等所得): 農業以外の事業から生じる所得
〇事業所得(農業所得) : 農業から生じる所得
〇不動産所得 : 地代、家賃、権利金など
〇利子所得 : 公社債及び預貯金の利子など
〇配当所得 : 株式や出資金の配当など
〇給与所得 : 給与、賃金、賞与(ボーナス)など
〇雑所得(公的年金等):国民年金、厚生年金、共済年金、恩給など
〇雑所得(その他) :生命保険契約による年金、損害保険契約による年金、作家以外の人の印税・原稿料、講演料、出演料など
〇譲渡所得(総合課税のもの):土地等・建物等及び株式以外の資産を譲渡した場合の所得
〇一時所得 : 生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金、懸賞の賞金等、競馬の馬券の払戻金等、借家人の受ける立退料など
4 所得控除の種類とその対象となるもの
所得控除(所得から差し引かれる額)は、次のとおりです。
これも、確定申告書の記載順に示してあります。
〇雑損控除 : 災害や盗難などによって受けた損害額
〇医療費控除: 病院・薬店などに支払った医療費
〇社会保険料控除: 社会保険料(国民健康保険や国民年金)
〇小規模企業共済等掛金控除:個人事業主のための共済や個人型年金掛金など
〇生命保険料控除: 生命保険料、個人年金掛金
〇地震保険料控除: 地震保険料
〇寄付金控除 : 政党などへの寄付、ふるさと納税
〇寡婦・寡夫控除: 夫または妻と離婚や死別した場合などに受けられる控除
〇勤労学生控除 : 納税者が勤労学生の場合に受けられる控除
〇障害者控除 : 納税者、あるいは控除対象の配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に受けられる控除
〇配偶者控除 : 控除対象になる配偶者がいる場合の控除
〇配偶者特別控除: 配偶者に38万円を超える所得がある場合の控除
〇扶養控除 : 控除対象になる扶養家族がいる場合の控除
〇基礎控除 : 全員一律で適用される控除
5 税額控除の種類とその対象となるもの
〇配当控除 :総合課税の配当所得がある場合に、原則として、配当所得の金額の10%又は5%に相当する金額を控除
〇外国税額控除 :外国の法令により所得税に相当する税金が課税されている場合
〇寄付金特別控除:政党等への寄付(寄附金控除(=所得控除)の適用を受ける場合を除く。)、認定NPO法人等への寄付、公益社団法人及び公益財団法人、学校法人等、社会福祉法人、更生保護法人への寄付
〇(特定増改築等)住宅借入金等特別控除:
・ 住宅の新築、取得又は増改築等をした場合
・ 特定の増改築等をした場合の特例
〇住宅耐震改修特別控除:昭和56年5月31日以前に建築された家屋で一定のものについて住宅耐震改修をした場合
〇住宅特定改修特別税額控除:一定の要件を満たすバリアフリー改修工事又は省エネ改修工事をした場合
〇認定住宅新築等特別税額控除:認定長期優良住宅、認定低炭素住宅を新築した場合で主に住宅ローンを利用していない場合
所得額や所得控除額の計算方法は、それぞれ細かく定められていますので、国税庁のHPで確認してください。